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図書館戦争

シリーズを読みました。

一番手前にあるのは、これもシリーズと言っていいんじゃないでしょうか。実はこれが関連作品で一番象徴的な話かも。

このシリーズは、検閲の正当化された架空の未来で、表現の自由を守る図書隊という組織を図書館が持ち、本を守るために戦うという、荒唐無稽な物語ですが。

しかし、実は現実はもしかするともっと悪くて。ご存じのようにマスメディアは言葉狩りを行い、世間一般でもそれは浸透しつつあります。某メジャーな日本語入力ソフトは、それらの語句を変換しません。それらを見せず、無かったかのようにすることは、却って冒涜だと思います。

そこにある、差別を受ける側への配慮なんてのは上辺っ面だけで、本当の差別はまったく無くならない、もしくは助長されているというのは、このシリーズの大きなテーマです。

そして、レインツリーの国は、聴覚障害を持つ主人公を真正面から取り上げた、しかし真っ当なラブストーリー。図書館戦争の方でも、この本が一つのエピソードに繋がる、作品中作品となっています。

私は、ここで提起されている問題に対する作者の考えにとても強く共感します。

作者の有川浩は、この難しい題材を、説教臭くならず、エンタテインメントとして見事にまとめています。そして、お約束のラブストーリーも健在です。そこがまた素晴らしい。

たまには真面目に、差別と表現の自由とか、そんな社会派な事を考えるのもよいのでは。

そういえば、Story Seller3だったかに載っていた有川浩の作家的一週間も、これ関係ですね。皮肉が効いていて笑わせる話ですが。よほどこのような規制に納得のいかない思いを持っているようですね。物書きにとっては当然だと思いますけど。

いや、物書きならざる私たちも、私たちこそ、考えるべき何でしょう。

これを読み終えた後、今は神林長平の言壺という小説を読み始めました。そう、「言葉」に深いこだわりを持つ作品を書くSF作家です。そして、題名が示すとおり、まさに言葉がテーマの短編集です。まだ読み始めたばかりですが、もう、狙ったかのような符合を見せる内容で。期待に違わぬ面白さ。

この組み合わせと言うか順番は意図して選んだ訳じゃ無いんですけどね。

そうそう、本屋に行ったら、なんか別冊 図書館戦争Iてのが刊行されているのを見つけて買ってきました。終わりなんだと思っていたら、番外編となってはいるものの、続くようで。楽しみが増えて嬉しいことです。